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B:Buddy
フレンチトースト苺添えを、桜蔵が幸せそうに平らげ、ミニアキのいる哲宅へ出掛けることができたのは、珪の予想していた通り11時前だった。
桜蔵は、まるで哲に会いに行くかのように上機嫌だ。
夏のような暑さもなく、街はクリスマスの彩り。桜蔵にとっては、心を弾ませるものしかなかった。
「珪ちゃん、ミニアキって何もらうと嬉しいかな?」
桜蔵が、愉しげに微笑んだ。
「何?クリスマスプレゼント?」
「そう。何がいいんだろう?」
「あいつ、一応LABに所属してる身だからなぁ……興味なさそう」
「えー!でも、アキのDNAでしょ?絶対、こういうの好きだって!」
おもちゃ、本、お菓子、と、桜蔵は、考えを巡らせてぶつぶつ独り言を呟いている。
興味なさそう、と言いつつ、珪も桜蔵の姿に引きずられて、ミニアキへのプレゼントを考え始めていた。
お土産を買うためにBeansビルの地下食品売り場を歩く。
その時だった。
珪は、視線を感じて立ち止まった。いつもは感じることのない他人の視線。
立ち止まり、辺りを見れば、賑わう人混みの中にこちらを見つめる男が一人立っていた。
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