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「えっ?」
ショートパンツのポケットを見ると、確かにスマートフォンが半分以上顔を出していた。彼を部屋で待っている間、着信を見逃さないように突っ込んでおいたのだった。けれど小さめのポケットは、スマートフォンを入れておくには向いてない。
「テーブルに置いていきなよ」
「そうだね」
ポケットからスマートフォンを出して、カバーが見えるようにテーブルに伏せて置く。スマートフォン自体が阪急宝塚線のえんじ色の電車のように見える、お気に入りのカバーなのだ。 キッチンに行くと、冷蔵庫から冷えたいちごのワインと、食器棚から足の長いグラスをふたつ出す。
「えっと」つぶやきながら、キッチンツールを入れてある引き出しを開ける。栓抜き、あったかな?
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