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第14話 鬼と化す
数年前まで手紙のやりとりをしていた恋人、ヤジの住所を訪ねてきたところが、その家は、今は空き家となっていた。かつては、ロンとソウに、その祖父キンサ、ヤジという倭人が住んでいたとか。隣家の老人が、知っている限りの事を語ってくれた。
ロンとソウのことは、子供の頃から知っておる。それがあんなことがあって、追われるように旅立ってしまった。わし自身の孫をなくしたかのようじゃ。
それもこれも倭人なんぞを助けたからよ。キンサ爺さんが助けたヤジは気の良い青年で、みなに慕われておったが、わしは悪い予感がしておったんじゃ。
数年前、乱心したヤジがキンサ爺さんを殺し、ロンにも大怪我を負わせていなくなってしまった。ソウが言っておったよ、ヤジは鬼になったと。村に戻ってきても近付いてはならないと言っておった。
鬼を野放しにはできないし、キンサ爺さんの仇を取ると言って、ロンの怪我が治るとすぐに、兄妹で旅立ってしまったのう。
その後、北京の白雲観から来たという道士に二人の行き先を尋ねられもしたが、何処とも知れぬ、鬼を追っていったと言うしかなかった。キンサ爺さんが禁術を使った疑いがあると言っていたが、わしにはよくわからなかった。
村に戻ってこない以上、いまだに鬼を追っておるのだろう。もし、兄妹に会うことがあれば、戻ってくるように言ってくれ。空き家は、わしがちゃんと手入れをしているからと。
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