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第7話 墓穴を掘る
燃えあがる化物を前にして悄然とたたずむ少女は、儚げで切なげで、しかし、どこかほっと安堵しているようでもある。
そばに寄り添う兄の手が肩に乗せられ、少女が、兄様とつぶやいて優しく応じる。かと思いきや、ギュウッとつねって引き下ろした。
「あたた、痛い、痛いよ、ソウ」
「でしょうね。痛いようにしてますから。いくらロン兄様でも、無闇に触られるのは不快です」
「うう、ひどい。可愛い妹に触れたいと思うのが、そんなに悪いことか?」
「いいえ。女癖の悪さを直してもらえれば喜んで。あっちの女性、こっちの女性と手を出す兄様の何を信頼すれば良いのやら」
冷たい目で見られて黙り込む。そんな兄妹の様子をみながら、チヨが明るく声をかけた。
「お二人さん、ありがとよ。もうちょっとで化物の腹に納まるところだった。ところで、下世話な好奇心で聞くんだが、違うってのはどういうことだい?」
「あ、それはね、俺たちは……」
と言いかけたロンを制して、ソウがいう。
「兄様は黙ってて。あることないこと喋るんだから。それより、その殭屍、きちんと埋葬して供養しないと。また悪いモノが入るわ」
「あ、ああ、そうだな。と、すると……」
「ええ、まずは穴掘りからね。兄様ならすぐにできるでしょ。よろしくお願いね」
「いやいや、これを埋葬できるほどの穴となると、ちょっとやそっとじゃ」
「なら、うちらも手伝うよ」
と割って入るのはチヨだ。とは言うものの、くるりと振り返ってトウショウの肩を叩いた。
「ま、よろしく。可憐な女性を見殺しにしようとした罰だと思って、ひと掘りひと掘り反省しながら掘るといいさ」
絶句しつつも断れないトウショウである。
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