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先生に指名されないコツはとにかくなんか作業すること。 ノートを取ったり、何も意味はないけどカバンを膝に置いて探しものしてるふりしたり。 暇そうにしてたり寝てたりしてる人を先生は狙う。かと言って真面目に先生の方向いてると目があったりして、当てる人が上手く見つかんない時に適当な人として選ばれたりする。 まあ私はとにかく目立つのが嫌いなのだ。授業中の指名すらも嫌。 そんな私だが好きな授業がある。 英語の授業だ。 授業中に習ったわけでもない筆記体をひたすらノートに書く。 授業で習った英単語。好きなミュージシャンの歌の歌詞。友達の名前、先生の名前、好きな芸能人の名前。 今までに何回書いただろうか。さだやまみりあ。 特にこの名字の筆記体が大好き。筆記体って言うのは一部の画を除いて1つの単語、文章を一筆で書く。 だから同じ様な言葉でも組み合わせによって書き心地が全く異なる。 さきやまでもない、さだおかでもない、さだやまというこの名字がとても書き心地が良いのだ。 きっと先生からは自分の言葉を一字一句書き取ってくれる良い生徒にでも見えているのだろう。まあテストの点数はあれだけど。 なんだか眠くなってきてしまった。瞼が勝手に降りる。机についた肘がずれて目を覚ます。何度か繰り返すうちにとうとうぼんやり見えてた世界が全て垂平になり、意識がなくなる
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