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大牟田から百道浜まで高速にのって
夜景の中を進む。
ーーこのままずっとトンちゃんと…ずっと彼のそばにいさせてくださいーー
そう神様に祈りながら夜道を走っていく。
海に着いた時には日付が変わっていた。
それでも数人の若者達が
浜辺で遊ぶそのわきを通って
波打ち際まで歩いていく。
その間もずっと手は離さない。
砂浜に座って…
一つのイヤホンを二人で分け合い
同じ歌を同じ瞬間に聴く。
三代目の後ろで微かに
ーーザーってーー
聞こえる波の音。
そして暗い海の遥か彼方に見える船の光。
トンちゃんの肩にもたれて聴く歌と波。
そして見つめる『闇の中の光』。
どのくらい経ったんだろう。
気づくと若者の姿も消え二人だけになる。そして重ね合う二つの唇。
「今夜、俺のアパートに泊まる?」
返事する代わりに頬にキスする。
トンちゃんの部屋は大学からほど近い
二階建てのアパート。
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