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「---この命もう要りません。お返しします」 はっきりと、口に出してそう言った。 もう生きているのは嫌だ。 数少ないけど、お世話になった方にはゴメンなさい。 しばらく前に喧嘩別れをした両親には……話しても分かってもらえなかったから、仕方ない。 ただしクズみたいな上司2人。テメーらは別だ。後で祟る。 ---でももうわたし、限界です。 夜の県道。 地方のため、車の通行量はさほど多くない。 誰も巻き込まないで済みそうだ。 ヤケクソな意識の中、何かが視界を横切った気がした。 咄嗟に大きくハンドルを切る。 ---あ、これで終わりだ。 一拍のタイムラグの後に轟音と、全身にとんでもない衝撃が来て。 ……そのまま意識を失った。 コンマ数秒の、急速に暗転する視界の中で。 真っ白にヒビの入ったフロントガラスに、赤いシミが一筋広がるのがほんの僅かだけ見えた。 ああこれは死んだな、と思った。
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