第3章 慰めて

2/5
前へ
/27ページ
次へ
その日は残業してまで、デザイン画を完成させた。 何を言ったって、社長の言葉はいつも当たっている。 あとは、私が社長を唸らせるしかないんだ。 「できた。」 うん。 色合いも、申し分ない。 「後は、明日社長に見せればOKだね。」 描いたデザイン画をデスクの引き出しの中に入れて、鍵をかけた。 その時だ。 「まだ、残っているのか。」 社長の声がした。 「社長。今、帰りですか?」 「ああ。取引先の打ち合わせが、長引いてな。」 時計を見ると、20時を回っている。 「東村は?」 「ああ、私はデザイン画を描いていて。」 「どれ、見せてみろ。」 社長は、スッと手を伸ばした。 私は仕方なく、デスクの引き出しから、デザイン画を出した。 「……これです。」 ちょっと震えながら、デザイン画を差し出した。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1579人が本棚に入れています
本棚に追加