第3章 慰めて

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社長は、近くのデスクに腰を降ろし、私のデザイン画を見ている。 しかも今描いたデザイン画の他にも、前にボツになったデザイン画まで。 自分がボツにしたデザイン画を見直すなんて、どういう神経してるんだろう。 なんだか前の穴を、また掘り下げているようで、私の胸は痛んだ。 「色合いが、ポップになってきているな。何か、楽しい事でもあったか?」 「いえ、別に。」 だって、ポップな色合いにすると、社長が喜ぶんだもん。 楽しい事があったのは、あなたの方でしょ。 「でも、デザインがダサいんだよな。」 胸にグサッと、突き刺さった。 「もっと斬新で、胸躍るようなデザインを……」 いつの間にか、目から涙が零れていた。 仕事で泣くなんて、卑怯だと思っているけれど。
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