第3章 慰めて

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でも、ダサいって。 デザイナーとしては、才能ないって言われているのと同じじゃん。 こんな私だって、デザイナーとしてもう6年も仕事しているのに。 その6年を、一気に否定されたみたいな。 そんな気分だ。 「どうした?大丈夫か?」 「はい。大丈夫です。」 涙は止まらないけれど、そう答えるしかない。 「仕方ないな。おいで。」 えっ? 今、何て言った?社長。 「遠慮はいらないから、ここに来い。」 そして社長は、腕を広げている。 一体、何をしようとしているの。 「さあ。」 さあって言われても、社長相手に行ける訳ないでしょ! 「面倒な女だな。」 そう言うと社長は、私の側に来て、片手で私を抱き寄せた。 社長の甘い香りが、ふわっと鼻に香る。 「泣くなら、胸を貸すぞ。」
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