第4章 過ちだったのか

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私は慌てて、社長のデスクに向かった。 「取引先の泉さんに頼まれていたデザイン、まだ出来上がっていなくて。」 「リテイクがまだなのか?」 「いえ。まだラフ画も提案していないんです。今日が締切なのに。」 周りから、『ええ?』というため息が漏れる。 「とりあえず、先方に謝りに行こう。」 社長は立ち上がって、上着を羽織った。 「申し訳ありません。」 この時が本当に、泣きたい時だよ。 でもここで泣いちゃいけない。 デスクに戻って、カバンを取ってきた。 「何かあったら、携帯鳴らして。」 そう言って私と社長は、会社を出た。 「泉さんって、この前東村のデザインを気に入ってくれた人だろう?それで、発注してくれたのか。」 「はい。まだイメージも聞いていなくて。どうしよう、私……」
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