後篇

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……話し声が聞こえて、目を開けた。 課長が起きていて、 「ああ、もう戻る。心配をかけて、すまない」 と、電話で話していた。 「……皐月課長、」 上体を起こして声をかけると、電話を切って振り返り、 「……仕事が立て込んでるようだから、社に戻る」 と、言った。 「わかりました。ですがもう、体の方はいいんですか?」 立って行って横に並び尋ねると、 「ああ…」応えて、「おまえにも、気をつかわせて悪かったな…」と、微笑んだ。 「……そんなのは、いいんです」 再び自分にはどうにもできない、情けない気持ちが込み上げた。 「いいから、さっきも話したように俺に頼ってくださいよ……そんな風に気丈にいられたら、俺がそばにいる意味もないじゃないですか……」 ふーっとまた、ため息がこぼれ出ると、 「……そんなことはない、」 と、彼が口にして、 「おまえがいてくれて、助かったから」 そう続けた。
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