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茶髪の方が、お茶をがぶ飲みした途端、崩れるように眠った。
お茶に睡眠導入剤が仕込まれていたのか?
一体何なんだ? この状況は?
……おい、矢野、何を勿体ぶってるんだ。
「困るわねえ、お茶を飲んでくれないと……。ちょっと手荒になっちゃうわ」
「はい。教祖様」
婆さんと黒髪の会話に理解が追い付かない。
仲間なのは、黒髪と茶髪じゃないのか?
視線を黒髪の若者から外せない。
会話の内容、そしてお茶を飲んでいない事実。想わぬ伏兵。
視界の端で何かが動き、俺は想わず、目を瞑った。
婆さんが、俺の顔面に湯呑みの液体をぶっかけたのだ。
熱湯が顔にかかり、怯んだ隙に、黒髪が鈍器のようなもので殴りつける。
俺は後頭部から生暖かい液体が漏れ出たのを感じ、脈動する痛みの中、気を失った。
最後に見たのは、灰皿を握る黒髪の歪んだ笑顔……。
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