08.俊輔と慎一

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茶髪の方が、お茶をがぶ飲みした途端、崩れるように眠った。 お茶に睡眠導入剤が仕込まれていたのか? 一体何なんだ? この状況は? ……おい、矢野、何を勿体ぶってるんだ。 「困るわねえ、お茶を飲んでくれないと……。ちょっと手荒になっちゃうわ」 「はい。教祖様」 婆さんと黒髪の会話に理解が追い付かない。 仲間(グル)なのは、じゃないのか? 視線を黒髪の若者から外せない。 会話の内容、そしてお茶を飲んでいない事実。想わぬ伏兵。 視界の端で何かが動き、俺は想わず、目を瞑った。 婆さんが、俺の顔面に湯呑みの液体をぶっかけたのだ。 熱湯が顔にかかり、(ひる)んだ隙に、黒髪が鈍器のようなもので殴りつける。 俺は後頭部から生暖かい液体が漏れ出たのを感じ、脈動する痛みの中、気を失った。 最後に見たのは、灰皿を握る黒髪の歪んだ笑顔……。
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