68人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたの、俊輔? 大好物のお茶よ」
「うん、そう。オレ、お茶大好きだから」
オレは警戒されないように、お茶を飲む。
オフィスに戻ったらメモを追加しないとな。
シュンスケ、お茶が大好物って。
いや、むしろ、オレがシュンスケ本人でしょ?
そうだ、オレ、シュンスケだった。
生まれた時から、シュンスケだった。
ここがオレの家だったらなぁ。
いやいや、だからここがオレの家なんだって。
この金持ちの家。
あの家は、夢だったんだ。
そうだ、悪夢をずっと見てたんだ。
あんなクソババァが母親のはずがない!
宗教にはまって、オレを折檻し続けたあのクソババァ!
いつも、暗い押入に閉じ込めたり、棒切れで殴るクソババァ!
あれは全部偽りの人生!
こっちが本物のオレの人生!
喉が渇いた。お茶を流し込む。
ちょっと熱いけど、関係ねえ。
「祖母ちゃん、おかわり!」
山崎とおっさんは飲まない。
2人とも緊張してるんだな。
さすが、オレ。だってここの孫だからな。
お前らと違って、器がでかいんだよな。
だって……こんな状況でも、眠気が襲ってくるくらい……。
どこでも……寝れるって……奴……。
ごうたんな……。
最初のコメントを投稿しよう!