08.俊輔と慎一

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「どうしたの、俊輔? 大好物のお茶よ」 「うん、そう。オレ、お茶大好きだから」 オレは警戒されないように、お茶を飲む。 オフィスに戻ったらメモを追加しないとな。 シュンスケ、お茶が大好物って。 いや、むしろ、オレがシュンスケ本人でしょ? そうだ、オレ、シュンスケだった。 生まれた時から、シュンスケだった。 ここがオレの家だったらなぁ。 いやいや、だからここがオレの家なんだって。 この金持ちの家。 あの家は、夢だったんだ。 そうだ、悪夢をずっと見てたんだ。 あんなクソババァが母親のはずがない! 宗教にはまって、オレを折檻し続けたあのクソババァ! いつも、暗い押入に閉じ込めたり、棒切れで殴るクソババァ! あれは全部偽りの人生! こっちが本物のオレの人生! 喉が渇いた。お茶を流し込む。 ちょっと熱いけど、関係ねえ。 「祖母ちゃん、おかわり!」 山崎とおっさんは飲まない。 2人とも緊張してるんだな。 さすが、オレ。だってここの孫だからな。 お前らと違って、器がでかいんだよな。 だって……こんな状況でも、眠気が襲ってくるくらい……。 どこでも……寝れるって……奴……。 ごうたんな……。
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