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GW開け、彼女は下着をつけずに登校をした。着ているのはあの黒いビキニだった。言いようのない優越感が、山田の中に湧き上がる。
手始めに山田は園瀬に横目をやって、そして不敵に笑ってみせた。
「どうしたの?」
園瀬は山田を覗き込む。
「なんでもない」
山田は、芝居掛かった仕草でひらりと舞った。
「佐伯君との恋、叶うといいね」
去り際に、園瀬に耳打ちをする。園瀬が否定しようとする頃すでに、彼女はふらりと教室を後にする。
山田は、一転した日々を楽しんだ。ある時は、多田の前で榎に言い寄ってみたり、新米の教師を前に、かがんでセーラー服の胸元を、見せて反応を楽しんだ。無論、いつであろうと彼女は黒ビキニを付けていた。
「あんた最近、どうしたのさ」
多田は言う。
「どうもしてないよ」
山田はビキニの秘密を、打ち明けたい衝動を押さえつけ、意味深長な貌をした。彼女たちから布数枚を隔てた所に、自分の秘密があるのだと、ニヤケが止まりそうにない。
「ところでさ、多田ちゃん」
「なによ」
呆れたように、多田は言う。
「榎君、口臭かったよ」
「ちょっと山田!」
多田は叫んだ。
「いきなりどうしたの山田さん」
山田は木下に一瞥をくれ、にんまりと口角を上げるのだった。
「あ、木下さんの好きな人って、長野先輩でしょ?女バスのエース」
「何で、」
木下はあっけに取られて、身動き一つ、出来ないでいる。やがて、涙が目に溜まる。
「ちょっと真奈、さっきっから何なの?」
山田はそんな園瀬の制止すら、心地よく思えて仕方なかった。
「そういえばさ、」
山田は園瀬に向き直る。
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