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僕が小鬼と初めて会ったのは、七歳の時のことだった。 会った――というより、見つけた、といった方が正確かもしれない。節分の日、豆まきに夢中になって、買ってもらったばかりの自転車の鍵を落としてしまい、必死になって庭の草を掻き分けていたら、見つけたのだ。 鍵じゃなくて、小鬼を。 小鬼は、草と草の間にちょこんとしゃがみこんで、震えていた。傷だらけで、疲れ切って。まるで、捨てられた子猫みたいに。 僕はびっくりするより先に、心配になってしまった。だって、ホントに痛々しく、弱々しく見えたんだもの。頭に並んだ三本の角を見なくても、それが普通の生き物じゃないのは分かった。 でもそんなことより、その綺麗な目をした、可愛らしい生き物を守ってやらなきゃって思ってしまったんだ。 僕は、小鬼をそっと手のひらに包むと、ジャンパーの中に隠して部屋に連れ帰り、手当てしてやった。こうして、僕と小鬼の共同生活が始まったんだ。
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