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3話「村娘、無茶させる」
場所は変わって霊峰にある林。
「まずやってもらうのは自然力を感知するところからです」
「自然力とは?」
「自然力とは万物に宿る力。例えば……この地面に生い茂る雑草からも自然力は放出されていますよ」
「え、俺にはただの雑草にしか見えないですけど」
「最初は誰でもそんなものですよ。これから徐々に感覚を掴んでいきましょう。と言いたいところですが悠長にはしていられませんよね」
「はい。俺には魔王と再戦するという目的があります。そのために一刻も早く強くなりたいのです」
「本当はこういう方法はあまり良くないのですが仕方ありませんね」
すっ、と手を差し出す。
「あの」
「手を握ってください」
「それはどういう」
「早くなさい」
「はい!」
凄みのある笑顔で催促されたグリームは背筋を伸ばし、恐る恐る手を握る。
すると突然得体の知れない力が流れ込んでくる。
「最初は気持ち悪くなるかもしれませんが我慢してくださいね」
「し、ししょう、言うのが遅い、です……うぷっ」
「吐いたら掌底叩き込みますから」
「は、はいぃ」
グリームはひたすら耐えた。「あ、手柔らかい」などという思考は一瞬にして吐き気というなかなかに耐え難いものに塗り替えられた。
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