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こんな状態で掌底を叩き込まれようものなら女性にみっともないところを見られてしまうというプライドすら粉々になってしまうだろう。ここは耐えるしかないのである。
「ふう、こんなものでいいでしょう。あら?」
「うっぷ、うぷ……ぜぇ……ぜぇ……はー」
「ちょっとやりすぎました。ゆっくり深呼吸してください」
背中をさすりながらグリームの体内に流し込まれた自然力を調整する。
少しずつ顔色が良くなってきたようだと一安心。
ちなみに吐いたら掌底は嘘である。別に吐いたところで怒りはしない。脅した理由は自然力を身体で感じるときに変な癖がつかないようにするためだ。
自然力を扱う度に吐くのでは使い物にならない無駄な力となってしまわないように成功体験を作るのも目的の一つである。
「で、今はどうです?」
「どうとは……これは! 感じます! さっきまで全然感じられなかったのにそこら中の木々や草から……これが自然力」
「普通は徐々に感じられるようになるので吐き気などの顕著な体調の変化は無いのですが今回は無理やり自然力を通しましたからね。とりあえず感知はできるようにしましたが精度はまだまだのはずです」
「精度というのは具体的にどれくらいまで師匠には見えているのですか?」
「粒ですね」
「へ?」
「砂粒にも満たない極小の粒まで見えていますよ」
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