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うんうんと2人は頷いて美心の愛らしさについて語り始めた。愛らしさと言っても妹的な要素についての語り合いなので平和なものである。
「ところで美心ちゃんはいつの間にあそこまで熟達してるんじゃ? 儂らちょっとしか教えてないじゃろ」
「鉄心はいつの話してるのよ。美心は暇さえあればずっと鍛錬ばかりしてるのくらい村のみんなが知ってるじゃないの」
「ふぉえ!?」
「え、ひょっとして爺さん知らんの? かあー! 恥ずかしいねえ! 俺ら含めて8人は知ってるのに爺さん知らないとか恥ずかしいのう、はずか――へぶっ!?」
のり蔵の煽りがしつこかったのか頭にきた鉄心は自然力を込めた拳骨を食らわせた。
「黙っとれい」
どすの効いた声でのり蔵を鎮めるも何も知らなかったのは事実であり、孫娘のように接してきた美心のことをしらない自分に恥ずかしさを覚えた。
「にしても鉄心の子孫にしては名前も容姿もずいぶんかけ離れてるわね。金髪に翡翠の瞳。名前はグリームだって」
「ふむ、長い年月が経ってるからのう。国が変わり、様々な人種と交われば変わっていくじゃろうて」
「それもそうか。冴えない鉄心に比べれば月にすっぽんね」
「余計なこと言わんでいいわ」
鉄心たちは互いに軽口を叩きあいながらも千年以上の付き合い故に本気で喧嘩するようなことはない。
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