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入り口から出てきたのは黒髪黒目の簡素な麻の服を着た壮年の男。
「私は美心といいます。歳は88を迎えたところでございます」
「美心さんというのか。いやあ大変な別嬪さんなことで」
「そう言っていただけるのは世辞でも嬉しいものです」
「いやいや世辞なんかじゃあない。と、本題に入らんとな。結界を破ったということは自然力を自在に操れる証。それに容姿があまりにも若いが不老体になったのはいつのことじゃ?」
「歳を取らなくなったのはこの力を完璧に操れるようになった16の時だと思います。その頃にはこの力を無意識下で体内循環できるようになっていました」
「なんと! 村の者でも一番若くて28だというのに16でそこまで高めたのか」
その後も話を聞き、ここは仙人のみが住む仙人村で人数は9人。村に訪れたこの日から私も住むようになったので10人となった。
88にしてようやく同族に会えた気がしたのであった。
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