1人が本棚に入れています
本棚に追加
2話「村娘、弟子をとる」
木剣を持つ最低限の筋肉のみを使い、それ以外を脱力状態に置く。
筋肉はただ力を入れるだけでは意味がないどころか逆効果である。腕を伸ばす動作が無駄な筋肉によって阻害されるからだ。今回の場合は木剣が仮想敵へ接触する瞬間押し出すように叩き込む。
「では……始めます」
「あ、ああ」
私が木剣に意識を向けることで弛緩した雰囲気が一気に締めつけられる。グリームもそれが分かったのか生唾で喉を鳴らしている。
体格に合わせた始点まで木剣を振り上げて停止。全身の筋肉の動きを脳で制御し、脱力状態を適宜変化させて鞭のようにしならせながら振り下ろす。
仮想敵に接触する直前、力みを一瞬だけ極限まで入れる。
最初のコメントを投稿しよう!