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「ところで傷は痛みませんか? 目に見える傷は癒やしたのですが」
「痛みは全然ありません! むしろ以前より調子が良いくらいです」
「それは良かった」
やはり勇者と言うだけあって傷の治りも早いようだ。この様子なら修行内容も厳しくしても問題ないだろう。
彼は仙人ではないのであまり時間をかけてもいられない。
「では早速明日から修行を開始するので疲れはしっかりとっておいてくださいね。傷は治せても疲れまでは治せませんから」
「はい!」
◆◆◆
霊峰内部にある稽古場。
ここは自然力が滞ることなく循環している空間なので岩壁がわずかに発光している。そのため内部は意外と明るいのだ。
「今日からこの稽古場で指導するので場所は覚えておいてくださいね」
「はい!」
「良い返事です。では最初にあなたの力量を測らせてもらいます」
「師匠は何も持たないのですか?」
「はい。私は徒手空拳のみで相手します」
「失礼ですがいくらなんでも……」
口から空気を吐き出しながら瞼を閉じる。
意識を"通常状態"から"戦闘状態"切り替え、瞼を開く。
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