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汗を垂らしながら仰向けに倒れるグリーム。その顔は悔しさよりも清々しさを表すように良い笑顔であった。
「私の知り得ぬ未知の力。しかし確かな研鑽によって磨き、積み上げてきたであろうことは分かります」
「師匠……」
「私は好きですよ。そういう真っ直ぐな太刀筋は」
ふっ、と微笑みかける顔は見る者を魅了した。
今まで欲や下心がある褒め言葉しかかけられたことがないグリームは美心の純粋な言葉に心を打たれた。心なしか頬を赤みを帯びている。
「が、まだまだ甘いです。特に力を引き出すのに時間がかかりすぎている点と粗さの目立つ振り。これに関してはしっかりと教えていきますのでそのつもりで」
「は、はい」
優しげな微笑みから気迫のこもった笑みへ変わった美心に思わず恐怖を抱いたのはグリームだけの秘密である。
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