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それが来た日から、使用人の顔ぶれが変わるようになりました。
一人入れ代わり、しばらくしてもう一人。年を経るごとにその間隔は短くなり、人数は増えていきました。皆、身体を壊して辞めていきます。中には衰弱死した者もいるようです。
ゆらゆら、ゆらゆら。それは屋敷内を揺らめいています。私はそれを、ただ眺めます。他の者には見えていません。
見えはしなくても、存在を感じることはあるようです。
それが近くにいる時、身震いをしたり、不安そうに周囲を見回す者がおりました。そうして一様に、体調を崩して辞めてゆきます。
関係は、あるのでしょう。
よくないモノだと、理解しておりました。それでも彼、もしかしたら彼女かもしれませんが、は私の慰めだったのです。
幸いにも、家族に害はありあせんでした。そのため、父も事を放置していたようです。不機嫌になる程度で対策をたてようとはしていませんでした。
そう。家族に害のない限りは。
親しくしていた使用人が亡くなったと、妹は取り乱しました。取り乱し、激しく私を責め立てました。
死に損ないの私がそれでも生き続けているのは、他者の生命力を奪っているからだという噂があったようです。
周囲の者は妹を必死で止めておりましたが、責める相手として間違いではありません。彼を招き入れたのは私。原因の一端は私にあるのですから。
その場はどうにか収まりましたが、日をおかずして妹は息を引き取りました。原因不明の衰弱死だったそうです。
ゆらゆら、ゆらゆら。彼は揺らめいています。私は彼を、ただ見つめます。
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