3話・闇の精霊はトモダチ

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西ローナ教会 重厚な戸を叩く音が響き、控えていた男が両扉を開く。入室するとすぐさま跪き宗教的儀礼を行うが、相手は興味が無いのか一向に見ようとしない。 「大司祭様、西方遠征のご報告にまいりました。慈悲を与えた異教徒の村ですが、事前確認の人数と比べました所345人全員を救ったと確認が出来ました」 跪く姿へ一瞬目を向けたものの、何処で手に入れたのか高位の魔物と思われる毛皮を撫で続けている。 「未だ近くに改宗しない者共がいると報告が入っておりますが…どのように致しましょう」 あたかも分かり切った答えを待つように聞いてくる。 「そうだね、慈悲を与えなさい」 一瞬口角が上がるも隠すように下を向き…。 「神の意向のままに…」 男の眼に光はなかった。
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