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「党首様、ご子息様は…強大な魔力量を秘めているようでございます。その為に使い余した魔力がお体を蝕む様で……。」
嘘ではない…が全てでは無い。
「そうなのか!では…治るのかね?」
「それでは…考えが一つ考えがございます」
伸ばした顎鬚を触りながら思案する。
「ほほう、申してみよ」
「はい、恐らく症状は元凶である余りに余った魔力を使わない限り治まらないでしょう。であるならば使えばよいのです。よって、この…」
少々アイテムポーチをまさぐると禍々しい指輪を取り出す。
「魔吸の指輪 を使うのが良策かと。」
「魔吸の指輪とな?」
「ええ、この指輪には装着者の魔素を吸い取る呪いが掛けられているので、ご子息様にはめれば余った魔力を吸収してくれるでしょう」
「成る程のう…あい分かった。その指輪をはめよ」
「承知いたしました」
そっと彼の手を取り、人差し指にはめる…すると……。
「こ、これは…」
皆が息をのむ中、真ん中にはめ込まれた宝石が赤紫色にぼんやりと光り始め……。突然体中から同色の光が宝石へ吸い込まれていき、一際眩しく点滅し淡い光に戻る。
少しずつ唖然とした空気が元に戻っていき…
「お、お坊ちゃまが!!ご、ご当主様!!」
歓喜と安心からだろう、涙が零れ落ちていた。
「ふぉっふぉっふぉ…一件落着ですな」
しかし、魔眼はどうするかのう。闇属性の物を敵視しているから……数少ない先天的な魔眼持ちの上に闇の祝福ときた…必ず行動をおこすじゃろう。
もしかしたらデルムント皇国までもがてをだしてくるやも知れぬ……。
「ご当主様、お願いがあるのですが。」
「何だね。此度の件もあるからの、余喜に計らうぞ」
「ありがたき幸せにございます。単刀直入に申します。私をお坊ちゃまに付ける執事として雇って頂けないでしょうか」
彼は昔亡くした我が子を重ねていることを自覚していた。
「良いだろう、お主は確か…王都の魔法学校と武術の心得も有ったはずよのう。家庭教師と護衛、お付きの医師にもなるではないか。こちらから依頼したいくらいじゃ」
「有難う御座います…」
これから幸せの忙しさが待っている。
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