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静寂と闇が広がる大自然の中、ぽつんと光を発している。
ルアノ・エヴァーリッヒ 9歳
木目調で温かみのある造りの部屋に1人……魔導灯の淡い橙色の光に照らされながらベットの上で教えてもらった構えをとる。ぼんやりと全身が発光するも、初めほどは光が漏れてはいなかった。その後も集中を続け、魔力の感覚へ神経を研ぎ澄ませる。
「っ!!」
魔力の塊が高速で接近して来ている事を察知したのだ。
「だ、だれ?」
片手杖を手に取り、警戒レベルを最大まであげていた。生存本能というものだろうか、無意識からの行動であった。
「そんなに怯えなくても大丈夫だよ、おぼっちゃん」
近くで見ると黒いモヤであると分かる。
「……」
「と言っても無理があるかな…私のことは気軽にベルと読んでくだされ」
優しい口調ではあったが、騙されない。体から発せられるオーラはどう見ても化け物であった。
「な、何の用だ?」
強がって話すものの、足は震えていた。無理は無いだろう…この物体は……。
「ルアノ君とお友達になりに来たのです」
「お友達?」
「ええ、それに君にとっても悪い話ではない。」
「……?」
「君は賢者になりたいんだよね?賢者にしてあげ
「ふふ、今すぐにできる訳では無いのですがね。君が努力を惜しまずに力をつける事が出来たらの話です。」
「……いいよ、友達になってあげる」
賢者様に憧れる気持ちは本当だが、1人で寂しかったのも事実であった。成長したとは言えまだまだ幼いのである。
「ふふふ、これから宜しくお願い致します…マスター」
《アト、コノコトハ ダレニモハナシタラ ダメデスヨ》
「うんっ!」
言い終わると黒いモヤは1周身体の周りを遊泳すると、左眼へ吸い込まれるように収まる。
静まった部屋の中に嗤う声が聞こえた気がした。あれからと言うもの、魔力の操作が何処と無く楽になった気がするのであった。
王都だけに絞ったとしても、識字率は6割と言った所であろうか。そんな世の中で学校に通えているのは一体何割いるのか……。その中で彼は6歳からマンツーマンで教育を受け、その上先日からは魔術もである。これで頭が悪くなるわけがないのである。下手をすれば王室よりも高度な英才教育やもしれないのだ。
男子3日会わざれば刮目して見よ。と言うが、その通りで子供の成長は一瞬であり…その中に大切な物事が詰め込められているのである。
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