ハルノオトのおとしもの

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 すると、その女の子はこう言います。  えーとね、ハルノオトだよ。ハルノオトなくしちゃったの。  ハルノオト、なんだろう。みゆきは意味がわからないけれども、とりあえず今(とど)いているおとしものをその女の子に見せました。  えーと、ハルノオトってぼうしかな、ハンカチかな、うで時計(どけい)かな、それとも小銭(こぜに)入れかな。  けれどもどのおとしものを見せても、その女の子は首を横にふるばかりでした。  ちがうの、ハルノオトなの、ハルノオト。  え、まさか、ハル・ノート、国際問題(こくさいもんだい)になっちゃうやつじゃないかな。まさかね。  えーと、ハルってだれかの名前かな。  うん。  ノオトって、もしかして、文字(もじ)のノートかな。  うん。  え、やっぱり。でもなんでこんな小さな女の子が。
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