父の言

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 ドアをノックすると中から「はい」という声が返って来た。  柔らかで優しい声。 甘い響きが〝彼女〟と重なった。 「美夕、俺だ」  息を呑む気配があった。 「入るぞ」  貴臣はドアを開けた。 〝説明のつかない感情〟  そんなもの、貴臣は自身には無縁と思っていた。 けれど、コントロールの出来ない程、狂おしい程愛おしいと思った#女__ひと__#は、いた。  あの感情と、同じなのか。 貴臣には分からない。 「兄さん……」
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