父の言

10/11
前へ
/32ページ
次へ
 甘い香りがする美夕の全てを、今は欲しくてたまらない。 この感情の行き場などもうどこにもない。 後には引けないところまで来てしまっていたのだ。  唇を離すと美夕は水面から上がったかのように息を取り込んだ。 そして叫ぶ。 「兄さん、お願いやめて。わたしは、わたしは、あはあっ、ああんっ」  白い躰が一際大きく跳ねた。 貴臣は瞬時に美夕の腰を高く上げ、クリトリスを吸い上げた。 美夕は背中を大きく弓なりに反らせ首を振る。 「あんんんっ、いやあっ」  どうしようもない感情と、迷いと戸惑いと、困惑の感情がぶつかり合い、火花を散らす。  抗おうと伸ばした手は掴まれ、熱が躰を貫いていく。 「美夕、ほら」 「んあんっ」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加