父の言

11/11
前へ
/32ページ
次へ
 貫かれたまま抱き上げられ、抱き締められ、何度目かもう分からないキスをする。  キスは優しい。 どうして。  美夕の両の手が、無意識に貴臣の顔を抱いていた。 「兄さん?」  激しい熱が、穏やかに引く。 美夕は優しく貴臣の頬を撫でた。 「兄さん、泣いてるの?」  貴臣が、静かに目を閉じたーー。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加