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父だけが知る真実だった。
父が自らの力で自殺で処理させた。
外の世界から隔絶した屋敷だから出来たのだろう。
母の死に隠された真実は誰にも知られる事なく闇に葬った。
父以外、弟達すら知らない真実を貴臣は美夕に吐き出していた。
美夕の腕が貴臣を抱く。
「兄さん、兄さん」
頭を抱き、濡れる頬で頬擦りをする。
「兄さんは、悪くないーー」
美夕の中から声がした。
「貴臣君は、何も悪くないの」
気付くと何度も何度も濃厚なキスをしていた。
湧き上がり溢れ止まらない感情は誰のものかなど美夕にはもう分からなかった。
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