父の言

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「いやっ、いやっ、いやなのっ、兄さん見ないで!」  泣き始めた美夕の唇が貴臣の唇で塞がれた。 「ん、んんっ」  秘唇をなぞった指は蜜を止めどなく溢れさせる口に侵攻する。 美夕は幾度も躰を震わせながら優しく甘いキスに溺れていく。  白い絹のように滑らかな小さな躰を腕の中に埋めながら、貴臣は思う。  嫌われてもいいが、刻み込む。 一生忘れられなくなるくらいに。  貴臣の中に、数時間前の電話での健人の言葉が過っていった。 『貴臣、一つだけ言っておく。美夕は優香じゃない。それだけは忘れるな』  そんな事、分かっていたさ。 とっくに。  それよりも、父が全てを知っていた。 貴臣にしてみれば何よりその事が一番口惜しかった。
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