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「生き残った哀れな羊だ、欲しい者は名乗り出ろ」
「え~男ぉ?そんじゃ俺いらなーい」
間延びした口調の垂れ目の男。
「男の血は生臭くてかなわん、いくら聖職者だろうと食う気もせんわ」
まるで手練れの騎士のように体格のいい、目付きの鋭い大男。
「…同意…華奢でもないし…肉も固そう…」
俺とさほど年齢の変わらなさそうな、口元を包帯で隠した気だるげな男。
「残念だが我ら兄弟、男は必要ないという総意だ。城代、獣の餌にでもしておけ」
「畏まりました」
そして玉座に座っていた、恐らくこの中で一番立場の高いのであろう男。
彼らは皆一様にあの黒髪と赤い瞳をしており、好奇、失望、侮蔑、様々な目線で俺を見つめた。
ひゅっと喉が鳴る。
このままでは俺は殺される。あの修道女達のように、いや、もっと凄惨な死が待っている。
(お、お助けください主よ…悪しきもの達から私を…どうか、どうか)
がたがた震えながらロザリオを握りしめ、必死に神への祈りを捧げていると包帯男が、ねえ、と声をかけた。
「ブラッド…どうせ死ぬなら、レオルにあげれば…?最近…俺達のお古じゃ、満足出来ないみたいだし…」
包帯男の言葉にブラッドと呼ばれた男は成程と頷いた。
「それは妙案だ」
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