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彼と付き合い始めたきっかけは、私が高校生の時、大学説明会の為にやって来た彼に一目惚れして私が突然告白し、
その後も彼の大学に押し掛けたりして猛アタックを続けたからだ。
けれど彼は私の努力も空しく、振り向いてくれる素振りもなかった。
それでも諦められずにアタックを続けたある日、彼はこう言った。
「君も物好きだな。こんな数学しか頭にないような男がそんなに好きなのか?」
「そこがまた好きなの!」
「…君のような風変わりがいるとはね…。まぁ、お互いの共通集合は少なくても、和集合で考えて付き合えばお互い知らないことをたくさん知り合える関係になれると言うしな。いいだろう」
「…何が言いたいの?」
「付き合おうということだ」
「えっ、本当に!?」
「私は一度言ったことは覆さない」
「やったぁ!!」
かくして、私たちは交際に漕ぎ着けた訳だけど…。
──…あれ?
私はふと気付いた。
好きって、言われてない…よね…?
…マジかぁ。
珍しく考え事をしたら、余計不安になってしまった。
一度不安になると、戻ることは難しい。
私は1人で悶々と悩むことになってしまった。
だから、
思わず頭を抱える私の事を、彼が見ていたなんて知らなかった。
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