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「…君は、」
ふと彼の声が聞こえ、私は顔を上げた。
「…何?」
「100という数字がどういう数字か、知っているか?」
彼の唐突な質問に、私は目を丸くした。
「それくらい知ってるわよ。馬鹿にしてるの?」
私がそう言うと、彼は珍しく苦笑を溢した。
「そんなつもりはない。…どういう数字だと思う?」
いつもならここで話をやめるはずの彼が話を続けた。
それが珍しくて、私は悩んでいたことも忘れて答えた。
「子供の頃に習う、一番大きな数字」
何とも子供っぽい解答だと自分でも思う。
案の定、彼もそれには笑った。
ちょっと嬉しい。
「確かにそうかもな。しかし、もっと違うものがある」
彼は本を置き、真剣な顔をした。
「100%という言葉もある通り、100というのは完璧な数字だ。分かるか?」
「…へぇ、そうなんだ」
言われてみれば、100を基準に考えられることが多い…気がする。
いや、馬鹿だから分からないけど。
「…人は誰しも、1人前じゃない」
「…は?」
彼の突然すぎる言葉に、私は思わず眉を顰めた。
「完璧な人はいないんだ」
「はぁ…」
言いたいことは分かる。
だが、ここまで話が飛ぶのは初めてだ。
…彼は遂におかしくなってしまったのだろうか?
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