私の彼は数学者

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そんな私の心配を余所に、彼は話を続けた。 「人は1人前になれれば完璧だと言われている」 「…まぁ、そうだね」 「さっきの話の通り、100は完璧な数字だ」 また話が飛んだ。 「うん、そう言ってたね」 「では、人で言う"1人前"である状態を数学で言う100に置き換えてみよう」 …あれ、何か繋がった? 「う、うん…」 「人は誰しも1人前ではない。なら、数字で言うと100にはなれないということだ。 ということは、人を数字で表すのならば100以下の数字になる」 「そうだね」 「では、私たちの数字は何だろうか?…そうだな私は60で、君は40といったところか」 これには私も黙っていられなかった。 「ちょっと、私低くない!?何よ、その差は!」 「頭の出来だな」 「馬鹿にしてるの!?」 私はバン!と机を叩いた。 「──だが、君には私にはない明るさと元気がある」 「フォローになってない!」 彼が何を言いたいのかさっぱり分からなかった。
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