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「結婚しようということだよ」
私は驚いて固まった。
「──え?」
話が繋がらなかった。
結婚しよう?
結婚しようって言った?
私のそんな混乱を汲み取ったのか、彼は言った。
「2人で完璧なら、ずっと一緒にいればいい。…違うかな?」
「で、でも、貴方は私の事、好きなの?」
私が聞くと、彼は呆れたような顔をした。
「何を言ってるんだ。手紙に書いただろう」
…手紙?
そういえば、付き合った当初に何かもらった気がする。
確か、たった1行の手紙。
よく分からない数式が書いてあった気がする。
解こうと思って頑張ったけれど、解けなかった覚えがある。
「あれの答え、まだ分かっていなかったのか?」
聞かれ、素直に「分からない」と答えた。
彼はノートを引っ張り出し、そこに「128√e980」
という数式を書いた。
手紙に書いてあった数式と同じものだった。
「これの上半分を隠してみろ」
そう言われて隠してみると…
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