私の彼は数学者

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私の彼は数学者

私の彼は数学者だ。 頭がとても良くて、イケメンで、とても素敵な人。 だけど、少し変わっている。 「君は、このディオファントス方程式についてどう思う?」 無口な彼が唐突に口を開いた。 「…は?」 何と言ったのか分からなかったので聞き返すと、彼は何やら数字がぎっしりと書かれている本を私に見せながら 「ディオファントス方程式の事だよ。どう思う?」 と言った。 どう思う…って、そんなこと聞かれても…。 「ディオ…何それ?」 私がそう訊ねると、彼は額を押さえながら「はぁー…」とため息を吐いた。 「何だ、君はディオファントス方程式の事を知らないのか?こんなの常識だぞ」 「はぁ…」 …訂正。 少しじゃなかった。 彼はかなり変わっている。 口を開けばいつも数学の事ばかり。 面白い物を見れば「ベンフォードの方式のように面白い」と言ったり、 夜景を見て「連立方程式のように美しい」と言ったり。 元々、学生時代は赤点取り放題だった馬鹿な私にはいつも彼が何を言っているのかさっぱり分からなかった。 いや、きっと普通の学力の人でも分からない。 それでも彼が言っていることを理解したくて聞き返すと、先程のように呆れられる。 もはや変わっている所の騒ぎじゃない。
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