辿り着いた先は……! ここ!?

3/26
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
「……わかった。ガイ。お前の言うことを聞こう。さぁエリミ。お前も俺と来るんだ」  私の願いがイリヤ様に届いたのか、私に手を差し伸べて下さり、私はそれをしっかり取ると、 「はい! 王様は姫様のお手をしっかり握っていて下さいませ! 今から私たち三人は、ここの世界では無い、並行する他の世界へと飛びます。皆様、今一度深呼吸を!」 「ガイ! あたしと兄さまから離れないでくださいです!」 「分かっておりますとも! それでは詠唱開始します。異世界転移魔法召喚(クエルダーニバシリータ)! 神よ! 今こそ我に力を!!」  詠唱した瞬間でした。私は胸の前で手を組み、目を静かに閉じました。  瞬間、黄金に煌く光の粒が私達三人を覆うと体に微弱の振動を感じ、それと同時に意識が遠くなるのを覚えました。 「王様! 姫様! しっかり私に掴まっていて下さいね!」 「あぁ。信頼しているぞ、ガイ」  王様が微かに微笑むと、私は目を瞑り、この魔法の成功だけを神に祈ったのです。  実は私、このパラレルワールドへの道を開く魔法というのは、初めてで、この魔法は先祖代々、禁忌とされていたものだったからか、切迫した状況での緊張で、本当にうまくいくかは賭けでしかなかったのです。  それが……。  こんな顛末を迎える事になるとは思ってもいなかったのです。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!