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エルドレッドが示す先には、石造りの家々が寄り添うように、ひっそりと集まっている。
その集落の背後に広がるのは、麦畑と、一筋の道のみが横たわる未開拓の原野。
そして、真紅の残照を浴び、まるで血染めの絨毯を思わせる荒地の向こうに、何か釜を伏せたような岩山がそびえている。
心もち歩調を早めたエルドレッドとシオンは、程なく、その小さな農村の入口にたどり着いた。
その村の入口に立つ小さな石碑には、村の名前が刻んである。
『ノイラの村』と。
「ああ、やっと着いたね」
安堵の息とともに、エルドレッドとシオンは村へと踏み入った。
すぐ目の前の広場に立ったエルドレッドは、辺りをぐるりと見渡した。
地面がむき出しのこの円い広場は、差し渡しが数十歩ばかりだろうか。
あちこちに村人たちがのんびりたむろしている。
残照を浴びながら、立ち話に興じる農婦たち。
完全に日が沈むまでのわずかな時間を惜しむように、子供たちは小石遊びに熱中する。
そんな穏やかな広場の周囲には、大きな倉庫や造り酒屋らしい建物が並ぶ。
村の全体を見渡すことはできないが、戸数はたぶん数十ばかり。
辺境の農村としては、大きい部類に入るだろう。
そんなゆったりとしたノイラ村の夕べに闖入した、武装異邦人が二人。
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