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エルドレッド自身、何か場違いな違和感を覚えたが、村人たちに驚く様子はない。
時おり奇異の視線は感じるものの、あからさまな悪意や敵意は、なさそうだ。
エルドレッドは、広場を何度も見回しながら、つぶやくように言う。
「あんまりじろじろ見られないね、この村。ノイラだっけ。田舎の村だと、“冒険者”って、結構変な目で見られるんだけど」
「そうだな」
軽くうなずいたシオンも、辺りに視線を配っている。
彼がまとう空気には、珍しく硬さが感じられない。
シオン的にも、この村は緊張を解ける場所だということらしい。
「この村は国境に近い。雑多な連中が来るんだろう。“冒険者”にも寛容なようだな」
『冒険者』とは、故郷を離れて放浪しつつ、行く先々で定住者の抱える問題を解決し、生計を立てる人々を指す。
目的や職能は、冒険者それぞれで異なるが、彼らは自らの技能のみを頼りに、日々を違う場所で暮らす。
一般の定住者からすれば、冒険者とは『時として頼りになる流れ者』ではあるが、おおむね『正業に就かない根無し草』だ。
特に辺鄙な農村や漁村など、村人のほとんどが正業についているような所では、冒険者が浴びる視線は、厳しく冷たい。
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