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その先に堂々と鎮座するのは、威容を誇る半球形の影。
少女は安堵した。
目的の場所は、ここで間違いない。
あの村が、最初の場所になる。そして、その先の岩山を目指すのだ。
大きく息をつき、先を急いだ彼女は、程なく目指す農村にたどり着いた。
時刻はすでに深夜に近い。
数十戸ばかりの農村は、ひっそりと静まり返っている。
ひと一人なく、ひっそりとした村の広場を横切り、彼女は小さな灯りの点る酒場の敷居を跨いだ。
閉店時間も近いのだろう。
小ぢんまりとした店内は、数脚の丸テーブルにも、カウンター席にも、客の姿は全くない。
天井に吊るされたランプの下、ただ髪も髭も灰色になった老齢の主人だけが、独りカウンターに頬杖を着き、うつらうつらとしている。
少女は、酒場の壁の一つに歩み寄った。
飴色になった木の壁一面に、何枚もの紙が張り付けられている。
羊皮紙からパピルス紙まで、様々な素材の紙に、色々な言語で雑多なことが書かれていることが読み取れる。
『この人を捜しています』
『尋ね馬』
『求む 身体強健にして 想像力に乏しい若者』
そんな張り紙の数々をぐるりと一瞥して、彼女は爪先立った。
傷んだブーツの踵が床から浮き、細い右手が壁に延ばされる。
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