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彼女は新しそうな張り紙に、一つ一つ視線を送る。
「『尋ね馬』、これは冒険者の仕事じゃないわ。『求む 身体強健にして 想像力に乏しい若者』、あなたの想像力は乏しくなさそうね」
初対面にも関わらず、この女性はエルドレッドのために、懇切丁寧意に情報を物色する。
あれこれと張り紙の内容を彼に聞かせる美女だったが、ふと一枚の紙に目を留めた。
「これは? 『腕に自信のある人を捜しています。特に体力と生命力に溢れた戦士、歓迎。鉱洞探索。報酬は金貨百五十枚。詳細はお会いしてから。面会時間は月の南中まで。金牛亭一号室』」
美女は値踏みするように、エルドレッドの全身をじっくりと見回す。
思わずたじろいで身を引く彼に、美女がさらに畳み掛ける。
「金貨百五十枚は、一年以上何もしないで暮らせる、かなりの大金だわ。悪くないお話よ。あなたはまだ若いけど、経験はありそうね。どう?」
「そうだなあ」
ふとエルドレッドがそう洩らした時だった。
いきなり背後から、ぐいと左肩を掴まれた。
と、振り向く間もなく彼の耳に届いたのは、どすの利いた低い声。
「おい、小僧! 気安くしゃべってんじゃねえ!」
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