第二章 酒場にて

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「大体おめえ、ご大層に剣なんか吊ってるが、どうせ大して使っちゃいねえんだろ? 使い方、ちゃんと分かってんだろうな」 「おやめなさい」  マイムーナが、無遠慮な声で笑うクライフを咎める。 「ひとは見かけでは判断できないわ」  冷たく響く美女の警句だが、クライフの口は止まらない。 「まさか剣の使い方も知らねえで、ここへ来たんじゃねえだろうな、小僧」  ここまで言われても、エルドレッドはぐっとこらえる。  酔っ払いの雑言を右から左へ受け流し、剣には触れない。  そんな我慢のエルドレッドを見て、クライフは意地悪くこう聞いた。 「そんなんじゃあ、ここまでは来られねえな。独りじゃねえんだろ?」  さすがに黙ってもいられず、エルドレッドは、柔和な顔に似合わず逞しい腕を組んだ。  彼はクライフの無礼な言葉に対し、それでも感情を抑えた調子で正直に答える。 「独りじゃないよ。仲間がいるんだ」 「仲間だと?」  クライフが、ハッと無遠慮な声を上げた。 「お前みたいな小僧に力を貸してるってのは、どんな物好きだ?」  その刹那、すぐ間近で淡々とした声が響いた。 「こんな物好きだ」  同時に振り向くクライフとマイムーナの前には、何の気配もなく白い青年が立っている。 「あら、いい男」     
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