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わずかな間に思考を巡らせたエルドレッドは、主人に小さく首を傾げて見せる。
「俺も詳しいことは知らないんだ。シオンのことは。半年くらい前から一緒に旅してるんだけど」
「あの男も冒険者か?」
主人に重ねて問われ、エルドレッドは首を横に振る。
「そうじゃないよ。でも、いろいろ教えてくれてる。それだけでもいいんだ」
やがてエルドレッドは、ナイフとフォークを置いた。
それでもまだ微妙に空腹を覚える彼は、骨に残った肉をかじりにかかる。
「それはそうと、お前さん、あの張り紙の主のところへ行く気か?」
主人の問いを聞きながら、エルドレッドは真っ白な骨を鉄板の上に投げ出した。
ようやく心身の充足を目一杯に感じ、彼は小さく息をつく。
「そのつもりなんだけど。話だけでも聞いてみたいし」
エルドレッドが答えると、主人の表情が変わった。
彼は口許をきっと結び、老成した眼差しでエルドレッドを正視する。
「確かあの張り紙には、『鉱洞探索』とあったな」
「ああ、そうだよ」
何げなくうなずいたエルドレッドに、主人が短く忠告する。
「もし、その鉱洞が荒野の岩山だったら、お前さん、この話は降りた方がいいぞ」
「えっ? どうして」
ぴくっと顔を上げたエルドレッド。
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