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言っておきながら、主人は肩をすくめた。
「もっとも、他所から来た連中の中には、鉱洞へ入った者もおるらしいがな。わしも、この村に出入りする者を全て把握しているわけじゃあない」
「そうか」
複雑な表情で短くつぶやき、エルドレッドはカウンターから腰を上げた。
何だかよくは分からないが、張り紙にあった鉱洞探索というのは、思ったよりも大変なものかもしれない。
……よくよく考えてみれば、金貨百五十枚もの大枚がかかる探索が、そんなに容易いものであるワケがないのだ。
その大金をかけている張り紙の主は、詳しい事情を知っているに違いない。
「ありがとう。覚えておくよ」
エルドレッドは懐から取り出した財布を開いた。
「いくら? シオンの食べた分も入れて。」
「銅貨五十枚だな。」
「そんなに安くていいのか?」
驚きを顔に見せるエルドレッドに、主人は笑ってかぶりを振った。
「気にしなさんな。こんな田舎だ。食っていければそれでいいんだ。それに、こんな老いぼれががめつく溜め込んでも、仕方がないだろう」
エルドレッドは、財布から出した銅貨をカウンターに置いた。
「ごちそうさま。美味しかったよ。本当」
彼の実直な言葉を聞いて、主人が満足げにうなずいた。
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