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実際にそれが自信ありげに映ったのだろう。
微かに口許を緩めた少女が、小さくうなずいた。
「分かりました。入って下さい」
しかし、この少女の表情に笑みは見えない。
どこか思い詰めたような緊張感が、彼女の全身を覆っているように映る。
何か余程の事情を抱えているのだろうが、エルドレッドにはそれ以上の思案が浮かんで来ない。
考えるのをやめた彼は、少女の勧めるままに部屋に入った。
少女より先に敷居を跨いだエルドレッドは、思わず声を上げた。
「あれ?」
エルドレッドに見覚えのある顔が二つ、先に来ていた。
ベッドの縁で片膝を抱えた美女が、大きな菫の瞳に好意的な笑みを浮かべ、エルドレッドを見つめている。
「また遇ったわね、ぼうや」
続けて掛けられたのは、低い男の声。
「来やがったな、小僧。ま、冒険者なら当然だな」
その声の主は筋肉質の男だった。
彼はローテーブルに置かれた蝋燭と睨み合う形で、床にあぐらをかいている。
間違いない。
彼らはエルドレッドが“伝言板”の前で出くわした、あの二人組だ。
しかし純朴なエルドレッドは、もう酒場での出来事も半分忘れている。
男の方もとうに酔いは醒めているらしく、小さな灯りに照らされた顔に先刻のような棘はない。
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