第一章 戦士エルドレッド

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「分かってる。それも俺の心がけ次第だって、言いたいんだよね? シオン」  そう言って、エルドレッドが清明な笑いを洩らしたときだった。  不意にシオンが立ち止まった。 「どうしたんだ?」  エルドレッドも半歩遅れて立ち止まると、シオンが鋭く警句を放った。 「動くな」 「えっ?」  エルドレッドが口走るのと同時に、街道脇の麦の穂がかさかさと鳴った。  シオンが音もなく、エルドレッドと背中を合わせて屹立する。  と、ほとんど同時に、二人の前後に三つの人影が跳び出してきた。  エルドレッドの前に一人、シオンの前に二人。  腰を低く落して身構えた男が立っている。  いずれも薄汚れた粗末な身なりに口許を布で覆い、鈍く光る匕首(あいくち)を手にしている。  この三人の男は、鍔のない片刃の短剣をちらつかせつつ、エルドレッドとシオンをじっと見据えている。  覆面のせいで、彼らの顔つきははっきりとは分からない。  だが、覆面から出ている疲れ切った目許や、まばらに髪に混じる白いものから察するに、決して若い、とはいえないようだ。  また彼らが握る匕首も、どれもかなり使い込まれている。  武器というよりは、日常の道具や農具の一つとして使われていたのだろう。 「何なんだ?」     
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