それは彼女にとっては、呼吸をするように自然な事

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それは彼女にとっては、呼吸をするように自然な事

 大学に入学して以来の友人同士である唯と千尋は、春休みに他の仲間と共に午後からボウリングの約束をしており、その前に二人で待ち合わせて昼食を食べようと、ある店に入った。 「お二人様ですね? それではカウンターにどうぞ」 「分かりました」  店内のテーブル席は全て埋まっており、ウエイトレスに促されてカウンター席に進んだ二人だったが、何故か後ろにいた唯が自分を追い越し、奥の席に座ったのを、千尋は不思議そうに見やった。そして待ち合わせてからここまでの経路や、普段の行動を思い返し、ある事に思い至る。 「あのさ、唯。右側が好きなの? それとも何かの癖なの?」  椅子に座って注文を済ませてから千尋が尋ねると、右隣の唯はキョトンとしながら問い返した。 「え? 右側って、何の事?」 「並んで座って食べる時、必ず人の右側に座るでしょう? それに多分、並んで歩く時も。今、気が付いたんだけど」  それを聞いた唯は驚いたように何度か瞬きしてから、納得したように頷いた。 「あぁ……、言われてみれば、確かにそうかも。無意識に癖になっていたかな?」     
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